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南海トラフ想定 宮崎港などで九州過去最大規模防災訓練

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▲写真は防災訓練の模様

 国の機関や宮崎県及び宮崎市、指定機関、建設業団体など145の機関・団体等が参加した「大規模津波防災総合訓練」が3日、宮崎市の宮崎港など各地で行われた。南海トラフ巨大地震と津波の発生を想定した訓練には、参加機関等の職員や地域住民ら多数が参加。広域的・実践的な訓練のもと、災害時の役割や連携体制を確認した。

 関係機関との連携強化や県民の防災意識の向上などを目的に、宮崎県では毎年、防災に携わる行政機関や指定公共機関、防災協定締結機関、自主防災組織、地域住民等が参加する総合防災訓練を実施。今年度は国土交通省や宮崎市と連携し、九州地方で過去最大となる145機関が陸・海・空にわたる訓練に取り組んだ。

 開会式では、石井啓一国土交通大臣の挨拶を代読した山田邦博水管理・国土保全局長が、省を挙げて整備効果の高いハード・ソフト対策や防災意識社会への転換を図っていることを説明。訓練を通じて、関係機関との一層の連携強化を図ると共に、日本が培ってきた防災の知識や技術を世界に発信していく考えを示した。

 宮崎県の河野俊嗣知事は、各地で災害等による甚大な被害が発生している現状を踏まえ、常在危機の意識を徹底し、防災対応能力を強化していく必要があると言及。宮崎市の戸敷正市長は、市民の命を守る事業を展開する中で、ハード対策には限界があることを指摘し、「災害から命を守るためには市民による連携が必要だ」と訴えた。

 メイン会場の宮崎港東埠頭では、▽地震・津波情報伝達訓練▽地域住民や外国人留学生による津波避難訓練▽防災機関による救助・救護訓練▽物資輸送訓練▽航路・道路啓開訓練▽浸水対策訓練―などを実施。宮崎県庁や宮崎市郡医師会病院、航空自衛隊新田原基地、宮崎市立大宮小学校等のサテライト会場でも同時進行で訓練に取り組んだ。

 情報伝達訓練では、宮崎県測量設計業協会らが被災箇所の実測を行ったほか、日本埋立浚渫協会らが岸壁の被災状況等を確認。道路啓開訓練では、宮崎県建設業協会と宮崎地区建設業協会が流木の撤去、日本道路建設業協会らが路面段差の応急対策等を実施した。九州港湾空港建設協会連合会は航路の啓開訓練を行った。

 地震や津波による河川堤防の決壊を想定した浸水対策訓練では、日本建設業連合会九州支部が遠隔操作した重機で決壊箇所に根固ブロックを据え付けたのち、九州地方整備局と地元建設業者が連携して排水ポンプの設置作業を行った。NTTグループや日本ガス協会九州部会、宮崎管工事協同組合らはライフラインの復旧訓練に取り組んだ。

 訓練会場に隣接した展示コーナーでは、港湾技術コンサルタンツ協会やプレストレスト・コンクリート建設業協会九州支部、日本橋梁建設協会、九州コンクリート製品協会、ダイヤモンド工事業協同組合らが調査・復旧等に関する情報を展示。宮崎県建築協会は熊本地震の家屋被災状況等をパネルで紹介し、建築物の耐震化を来場者に訴えた。

 宮崎県建設業協会の山﨑司会長は、南海トラフ巨大地震の発生が懸念され、防災に対する県民の意識が高まる中、時宜を得た全国規模の訓練で各自の役割や連携を確認することができたことを評価。「いつ起こるか分からない有事の際に建設業が何をすべきかを考え、日頃から危機意識を持って備えておかなければならない」と述べた。