宮崎県はことし4月に施行した美しい宮崎づくり推進条例に基づき、関連する施策の総合的かつ計画的な推進を目的とした「美しい宮崎づくり推進計画」を策定した。計画期間は平成29年度から38年度までの10年間。推進計画に基づき、身近な場所から居住するまち、そして県内全域に美しい宮崎づくりを広げるための施策を展開する。
美しい宮崎づくり推進条例では「良好な景観を保全・創出・活用することで魅力ある地域をつくること」を美しい宮崎づくりと定義。県民の心豊かな暮らしと活力ある地域社会の実現を目指し、県や市町村、県民、事業者が一体となり、美しい宮崎の景観を共有財産として将来に引き継いでいくための取り組みを推進する。
新たに策定した推進計画では、条例で定める基本理念に基づき、「愛着と誇りを持てる『美しい宮崎』の創造と継承」を将来の目指すべき姿に設定。条例に基づく4つの分野ごとに県、市町村、県民、事業者のそれぞれの役割分担や具体的な取組内容を示したほか、今後10年間で特に取り組むべき3つの重点施策を分野横断的に示した。
分野別施策のうち「地域の特性を生かした景観の保全及び創出」では、本県らしい景観を将来の世代へ引き継ぐため、自然、農山漁村、歴史・文化など、それぞれの地域の特性を生かした景観の保全・創出を推進する。また、市町村の区域を越えて広がるような広域的景観の創出に向け、市町村間の調整や技術的助言等の支援を行う。
「景観を資源として活用するための環境づくり」では、ビューポイントや沿道・沿線の整備等の推進、もてなしと賑わいの空間づくりの推進のほか、積極的な情報発信を実施することを明記。県産材を活用したもてなしの空間づくりとして、公共建築物等の木造化・木質化による温もりのあるもてなし空間づくりを推進する。
「公共事業に係る良好な景観の形成」に関しては、景観に配慮した公共事業を実施するための仕組みづくりや公共施設等に対する住民の意識の醸成、公共事業における景観づくりの担い手となる人材の育成に取り組む。景観まちづくりアドバイザー制度を活用し、公共事業に景観等の専門家の意見を反映させる取り組みも行う。
「美しい宮崎づくりを推進するための担い手の育成」では、将来を担う子ども達や専門的知識を有する人材の育成、各種団体や法人との連携強化に取り組む。従来の表彰制度を継続しつつ、良好な景観の保全・創出に「活用」という視点を盛り込んだ新たな表彰制度を創設するなどして、優れた取り組みの周知・普及を図る。
一方で、▽景観による地域のブランド力向上▽景観を生かしたおもてなし▽宮崎を美しくする人づくり―の3つの重点施策に関しては、高価値の景観づくりや魅力発信力の強化、観光地の景観の磨き上げと受入環境の整備、国民体育大会等に向けた会場周辺の景観づくり、美しい宮崎づくりに関する普及啓発等に取り組むこととした。
施策の推進にあたり、庁内に設けた「美しい宮崎づくり推進本部」を中心に、横断的な連絡・調整を行うための体制を構築するとともに、国や市町村との情報交換や連絡調整を円滑に進める体制も構築する。各種施策の評価や検証を定期的に行い、有識者や県民等の意見を踏まえながら、次年度以降の進め方等に関して必要な見直しを行う。