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手作り免震装置(木内建設)が最優秀 全建が技術研究発表会

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は15日、2017年度の技術研究発表会を都内で開いた。事前の審査で優秀賞に選ばれた11事例が披露され、この中から木内建設(静岡県)の松下圭佑土木部副主任が発表した「コンクリート圧送中のホースの震動による鉄筋等のずれ防止のための手作り免震装置」が最優秀賞を受賞した。

 松下氏によると、最優秀賞を受賞した手作り免震装置は、急傾斜地の道路建設での床板整備の際の生コンクリート打設のために製作した。

 生コン車やポンプ車が現場に近付けないため、床板の鉄筋の上に直接ホースを這わせることにした。しかし、そのままではホースの振動で鉄筋にずれが生じた。対策としてゴムタイヤや竹をホースの下に並べることを考えた。しかし、タイヤでは、ゴムの摩擦が強く、鉄筋が動くと想定された。また竹は前後にだけ転がり、左右に揺れるホースには弱かったという。

 そこで思い付いたのは、複数のゴルフボールを、コンクリートパネルの板で挟んでサンドイッチ状にした免震装置だ。球体のボールならあらゆる方向の振動にも対応できる。内部に仕切りを設けることで、ボールが1カ所に片寄ることを防いだ。底部にすべり止めのゴムも付けた。

 この手作り免震装置の活用によって、鉄筋のずれを防止したほか、筒先持ち作業員の負担を軽減し、コンクリート打設の施工性を向上させた。また、コンクリート圧送に要する作業員を削減した。

 松下氏は「現場にあるものを利用することでコストを抑えつつ簡単に製作できた」と説明した。社内で、ほかの高架橋床板工事で使用することを予定しているほか、技術新案としての申請を検討しているという。

 この他の発表事例は次の通り▽建築躯体工事の階段開口部の墜落防止手摺(丸本組)▽中頭病院移転新築工事における施工者としての創意工夫(大城組)▽布設管基礎材の締固め方法の工夫(西松建設関東土木支店)▽OPTジェット工法によるSCP工法施工不能箇所への対応方法(丸本組)▽大口径長尺鋼管杭打設の施工性・安全性の向上(濱谷建設)▽鉄道高架橋構築工事における工期短縮(清水建設関西支店)▽港湾工事での『i―Construction』試行(南建設)▽VRによる安全管理~ゴーグル型ディスプレイによる安全の可視化~(一二三北路)▽タブレットを活用した仮設土留の点検(大豊建設大阪支店)▽熟練技能維持システムの開発と次世代建設生産に関する研究(淺沼組)。