国土交通省が11月16日に開いた「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」で、省エネ基準への適合義務の対象を拡大した場合の影響などを関係団体にヒアリングした。日本建設業連合会(日建連)は、中規模非住宅に適合義務を広げると、設計作業の増加や、工事完了検査期間の圧迫が懸念されると指摘。省エネ適合性判定機関でつくる住宅性能評価・表示協会は、審査を容易にする省エネ計算の簡素化を求めた。
研究会は、今年4月に全面施行された建築物省エネ法の施行状況を検証するために設置されたもので、国交省は2018年3月にまとまる中間報告を踏まえ、18年度以降の制度改正を検討する。
建築物省エネ法は、延べ2000m2以上の非住宅に省エネ基準への適合義務を課している。15日の会合では、関係する5団体にこの適合義務の対象を拡大した場合の影響などをヒアリングした。
日建連は、現行法で届け出義務にとどめている中規模非住宅建築物に基準適合義務を課した場合、省エネ計算作業・審査期間や工事完了検査期間の圧迫、設計作業の増加などの影響が生じるとした。日本建築家協会(JIA)は、延べ300m2程度の建築物の省エネ性能を高める内容は限られるため、建築物のデザインに制約が生じる可能性があると指摘した。
一方、住宅性能評価・表示協会は、省エネ適合性判定機関の立場から意見を表明。小規模な建築物に適合義務を課した場合、省エネ計算に不慣れな申請者の物件の審査が遅れたり、件数の増加で審査側の人員不足が生じる恐れがあるとし、省エネ計算の簡素化を図る必要性を訴えた。