国土交通省は、公共工事で3次元データの活用を拡大するため「3次元データ利活用方針」を決定した。3次元データがICT建機による施工の自動化、施工計画・施工条件の確認などにより、建設現場の生産性を高める〝エンジン〟になるとして、測量・調査、設計、施工、維持管理の各段階で活用を徹底するとしている。現在の「電子納品保存管理システム」に蓄積されている既存インフラの2次元図面も3次元データに変換し、維持管理段階での活用を進める。
公共工事での3次元データ活用は、建設現場の生産性向上を図るi-Constructionで本格化。直轄事業では、土工・舗装・浚渫のICT施工やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)に活用されている。
利活用方針では、建設現場の生産性向上を図るためには、3次元データを測量・調査から導入し、その後の設計、施工、維持管理に情報を流通させることが不可欠として、各段階で3次元データの活用を拡大する考えが盛り込まれている。
測量・調査(地質調査)では、3次元化した測量データと土地利用データを重ね合わせ、河川氾濫シミュレーションなどにも活用する。3次元化された公共・民間工事のボーリングデータを幅広く収集・共有できる仕組みも構築する。
設計図書を3次元化したCIMモデルは、住民との合意形成の迅速化や鉄筋の干渉チェックに活用するとともに、数量・工期の自動算出で積算の効率化にもつなげる。設計から施工に3次元データを引き継ぎ、仮設・施工計画や施工ステップモデルを作成、最適な人員・資材を確保する。
施工段階で作成する3次元化された出来形計測データを活用し、維持管理段階で構造物の変異把握を効率化させる。
電子納品保管管理システムを改修し、各段階で3次元データを効率的に活用できるようにする。2019年度から一部で運用を開始する。システムに蓄積されている2次元データを3次元データに変換する技術開発にも着手する。