国土交通省は11月13日、社会資本整備審議会建築分科会・建築基準制度部会で、防火・避難規定の合理化の検討状況を報告した。建築物の主要構造物は、高さ・用途・立地に応じて一律に耐火構造を要求しているが、消火時間や避難時間などに応じた要求性能を新たに設定。これに対応する設計法を開発すれば、合理的な性能設計を実現し、木材利用の促進などが可能になるとしている。
防火・避難規定の合理化は、産学官で建築分野の重要テーマを研究する「総合技術開発プロジェクト」の対象。同プロジェクトでは、2016年度から既存建築物の活用促進に向けた防火・避難規定のさらなる性能規定化を研究している。
建築基準法では、高さ(13㍍)、用途(3階建て以上の共同住宅など)、立地(防火地域、準防火地域)で、一律に建築物を防火構造とすることを求めている。この規制を見直し、消火時間・避難時間に応じて準耐火構造とする要求性能を位置付け、この性能を上回る新たな設計法の開発により、合理的な性能設計を実現させる。
具体的には、防火地域・準防火地域に立地する建築物については、外壁・開口部の性能を向上させるなど、重点的な対策を行えば木材利用を認める。小規模建築物(延べ面積200m2未満)については、火災時の避難が早期に完了するため、耐火建築物とすることが義務付けられていない。3階建て以上でも面積に制限を加えるとともに、用途に応じた警報設備やスプリンクラーの設置などの措置を講じれば耐火建築物とすることを求めない方向で検討する。