▲写真は出前講座の模様
建設産業の魅力を若者に知ってもらおうと、一般社団法人宮崎県建設業協会(山﨑司会長)は9日、県立宮崎工業高等学校の建築科1年生を対象とした出前講座と現場見学会を開催した。建設業に携わるプロの講義や現場見学を通じて、参加した40人の生徒は働くことの意義を感じ取り、建設産業に対する理解と見識を深めた。
宮崎県建設業協会では、建設産業の健全な発展や担い手の確保・育成、業界のイメージアップを図ることなどを目的に、若年者入職促進や人材育成に係る各種事業を展開。県内工業及び農業高校の建設系学科生徒を対象とした出前講座や現場見学会のほか、就業体験(実施主体は各地区建設業協会)等に積極的に取り組んでいる。
出前講座を行った宮崎地区建設業協会の宇治橋信雄理事と鈴木剛監事は、地図に残り、困っている人に喜ばれ、完成時の達成感が何にも代え難いことを建設業の魅力として紹介。技術者としてステップアップしていくためには資格が必要であり、「若いうちに準備をして、目標を持ってチャレンジして欲しい」とアドバイスした。
また、地域建設業の若年層不足についても言及。地方と都会では初任給に差があるが、家賃や光熱費、物価等の水準を考えれば、地方で就職してもメリットがあることを指摘し、「将来、自分が何をしたいのかをよく考え、進路を決めて欲しい」と訴えた。座学後に行われた実技では、生徒達が鉄筋の曲げや切断、結束に挑戦した。
出前授業後には、宮崎県防災拠点庁舎の新設に伴う「宮崎県庁5号館移転工事」の現場に移動。発注者である宮崎県の担当者が、大規模災害発生時の対応拠点等とするために庁舎を新設すること、歴史的・文化的な価値を有する5号館が新庁舎建設に支障を来すため、約70m離れた場所に曳家で移転することを説明した。
一方、施工者である上田工業の監理技術者と現場代理人は、工事概要や進捗状況、移動装置の仕組みを図面や写真、模型を使って解説。建物を傷つけないよう、慎重に作業を行う必要があることを説明し、現場を見て回った。見学を終えた生徒からは、一日当たりの作業時間や作業人数等に関する質問が寄せられた。
生徒達はこのほか、大淀開発が施工する「霧島酒造志比田第二増設工事」の建設現場も見学した。建築関係の仕事に就くことを目指している建築科1年生の藤井成美さんは「曳家工事の現場を初めて見学して、とても勉強になった。将来は設計(の仕事)を考えていたが、現場を見て工事も良いなと思った」などと話した。