洋上風力発電施設の建設に伴う基準類の検討を進めている経済産業省と国土交通省は、「港湾における洋上風力発電施設検討委員会」に施工技術ワーキンググループ(WG)を設置し、工事実施の方法の審査指針策定に向けた検討を始める。同委員会はWGでの議論を踏まえ、2017年度中に「港湾における洋上風力発電施設の工事実施の方法の審査指針」を策定する考えだ。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、洋上風力発電は陸上風力発電と比べ、▽風況が良く、風の乱れが小さい▽土地や道路の制約がなく、大型風車の導入が比較的容易▽景観、騒音への影響が小さい―といったメリットがあり、安定的かつ効率的な発電や風車の大型化が可能なことから欧州を中心に近年急速に導入・普及が進んでいるという。
一方で、わが国の気象条件は欧州とは異なるだけでなく、日本海側と太平洋側の自然条件も異なっており、沖合での洋上風車の建設コストを低減する工法の確立など、洋上風力発電の実用化に向けた課題が多い。
わが国の場合、洋上風力発電の導入の適地として港湾が有望視されており、2016年度には改正港湾法が施行され、港湾区域における水域占用などのルールが整備されている。北九州港や鹿島港でこのルールを活用した洋上風力発電事業者が選定されるなど、国内の複数の港湾で洋上風力発電プロジェクトが計画されている。
このため経産省と国交省は、洋上風力発電の導入をさらに円滑化する必要があると判断。牛山泉足利工業大学理事長を委員長とする「港湾における洋上風力発電施設検討委員会」を設置し、電気事業法と港湾法に基づく審査手続きの合理化や、事業者の負担軽減を図るための具体策について検討を進めていた。