全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、会員企業を対象とする「働き方改革に向けた取り組み状況」についてのアンケート調査の中間報告をまとめた。長時間労働の是正や週休2日の普及に向けて必要な取り組みとして66.1%が「適正な工期の設定」、48.3%が「提出書類の簡素化・削減」、41.2%が「設計労務単価の大幅引き上げ」を挙げた。また、残業時間の実態について各社の上位3人ずつを聞いたところ、月間80時間以上が11.0%、年間720時間以上が6.8%を占めるなど、建設業にも今後適用される時間外労働の上限規制に対応するための具体的な課題も明らかになった。
アンケートは全建の全会員1万9070社を対象に、8月1日現在の状況を調査。8月末までに回答のあった3106社の状況を中間報告としてまとめた。
長時間労働の是正や週休2日に必要な取り組みについては、上位3項目について回答を求めた。「適正な工期の設定」などのほか、「適正な利潤が確保される予定価格の設定」(31.9%)、発注の平準化(28.8%)などが上位を占めた。
各社の上位3人に関して質問した残業時間のうち月間残業時間については、69.1%が44時間以下に収まったが、100時間以上の5.4%を含め80時間以上が11.0%を占めた。年間残業時間では、71.6%が359時間以下だが、6.8%が720時間を上回った。特に技術者で長時間労働になる傾向が目立った。
勤務時間(残業時間)の管理方法では、「本人の申告」が61.3%で最も多かったが、「タイムカード」(24.1%)と「勤怠・就業管理システム」(7.5%)による機械的な管理も約3分の1を占めた。
長時間労働の抑制への取り組み(複数回答)は、「経営トップによる声掛け」(46.1%)、「定時退社の呼び掛け」(32.7%)、「休日出勤の禁止・抑制」(32.0%)などが上位だった。
週休日の実施状況では「概ね4週6休」が55.1%で最も多かったが、「概ね4週8休」も16.3%あった。以下、「概ね4週7休」(12.6%)、「概ね4週5休」(12.0%)、「概ね4週4休以下」(4.1%)の順だった。
一方、有給休暇取得日数について、取得日数が少ない職員3人について各社に聞いたところ、0日が26.4%、1~5日が43.3%を占めた。特に技術職での少なさが目立った。
働き方改革を進める上での優先順位(上位3項目回答)は「経営トップの意識」(61.8%)、「職員の意識」(48.2%)、「発注条件の改善(発注者の理解)」(45.6%)、「生産性向上(工程・業務・事務の合理化)」(44.2%)が上位を占めた。
■女性技術者の割合5.3%に
全国建設業協会が、会員企業を対象にアンケートしたところ、8月1日現在、技術者に占める女性の割合は5.3%で、前年の調査と比べて2ポイント上昇した。全体に占める割合はまだ少ないものの、着実に建設業で女性技術者が増加していることが分かった。女性のいる現場の割合は前年より1.6ポイント増の8.1%。女性用トイレなど設備面での改善も進んでいる。
女性の活躍の状況は、全会員1万9070社を対象とする「働き方改革の推進に向けた取り組み状況に関するアンケート調査」の中で聞いた。8月末までに回答のあった3106社の状況を中間報告としてまとめた。
事務職や営業職を含む職員全体に占める女性の割合は12.8%。前年より0.7ポイントアップした。女性職員に占める技術職の割合は24.9%だった。
女性のいる現場での女性用トイレの設置状況については、22.8%が「全ての現場に設置している」と回答。前年より9.9ポイント増えた。また、「一部の現場で設置」は、13.9ポイント増の35.4%になった。
また、女性のいる現場での女性用更衣室の設置状況については、前年より3.2ポイント増の10.1%が「全ての現場に設置」と回答。「一部の現場に設置」との回答も前年より8ポイント増の23.3%あった。