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金御岳工区など3事業の継続了承 宮崎県公共事業評価委員会

 宮崎県が実施する公共事業を評価する「宮崎県公共事業評価委員会」(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の平成29年度第1回会合が27日に開かれた。会合では、県土整備部が所管する河川事業「浦尻川」と道路事業「都城志布志道路金御岳工区」「国道219号広瀬バイパス」の再評価を行い、いずれの事業も来年度以降の継続が了承された。

 公共事業評価は、事業の必要性と効果について客観的な評価を行うことにより、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。評価の体系は、事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 27日に開かれた会合では、いずれも県土整備部が所管する▽総合流域防災事業・浦尻川(延岡市)▽地域連携道路事業・都城志布志道路一般県道飯野松山都城線金御岳工区(都城市)▽交通円滑化事業・宮崎東環状道路一般国道219号広瀬バイパス(宮崎市)―の3つの事業について説明が行われ、委員が事業継続の可否を審議した。

 浦尻川に関しては、平成24年度の前評価から事業計画に大きな変更が無かったため、説明資料による簡易な審査に留める一括審議で継続を了承。事業計画の変更に伴い事業費を増額した金御岳工区と広瀬バイパスも継続が了承されたが、建設発生土を他工事に流用してコストを抑えるなど、事業費の縮減を徹底するよう委員が注文を付けた。

*総合流域防災事業・浦尻川

 河口部の河積不足や固定堰の影響により浸水被害が発生していた二級河川浦尻川水系浦尻川及び支川である折川内川を対象に、河道掘削や堤防・護岸の整備、橋梁の架け替え、堰の撤去などを行い、対象エリアの浸水被害の軽減を図る。

 改修延長は1630m(浦尻川1240m、折川内川390m)で、事業期間は平成15年度から34年度まで。全体事業費11億7000万円のうち既設投資額は約6億200万円で、進捗率は事業費ベースで52.9%、用地ベースで71.6%となっている。

 これまでに浦尻川河口部~折川内川合流点付近までの河道拡幅、河積を阻害していた固定堰の撤去、飛川橋の架け替えを実施。来年度以降、折川内川の未改修区間(L=390m)に於いて、堤防新設や農道橋の架け替えに取り組む予定でいる。

*一般県道飯野松山都城線金御岳工区

 飯野松山都城線は、鹿児島県志布志市を起点とし、都城市甲斐元町の国道10号(都城IC)を終点とする延長21㎞の一般県道。都城志布志道路の一部を形成し、都城ICから国道10号に接続する五十町ICまでを国土交通省、五十町ICから志布志方面の県境までを宮崎県、鹿児島県内の区間を鹿児島県がそれぞれ整備する。

 路線内の金御岳工区は、今年度に供用を予定する梅北工区の終点である金御岳ICから鹿児島県境までの2.9㎞で、道路幅員は7m(全幅12m)。工事は切土と盛土が中心となる。主要構造物として橋梁1箇所とボックスカルバート11基を計画し、これまでに橋梁1基が完成、ボックスカルバート6基が整備中となっている。

 当初計画で48億円としていた全体事業費に関しては、着工の遅れにより梅北工区で使用する予定だった残土19万m3の処理費用が新たに必要となったことや近年の建設関連人件費及び資材費の高騰、消費税の引き上げ等を背景に、当初計画から30億円増となる78億円と見積もった。

 増額分の内訳は、残土運搬先の変更に伴う費用増に11.4億円、想定より含水量が高かった地盤改良費の費用増に4.4億円、軟弱地盤対策費の追加による費用増に5.3億円、切土法面対策の見直し(植生工→法枠+枠内栗石)に5.3億円、埋蔵文化財調査面積の追加による費用増に3億円、路床改良の追加による費用増に0.9億円。

 増額した全体事業費に対する進捗率は、事業費ベースで34.9%、用地ベースで91.0%。今後は用地取得を早期に完了させ、残るボックスカルバート5基の整備や盛土工、切土工、舗装工等を順次進める。早期の供用を目指すが、完了予定年度は鹿児島県と協議した上で設定する。

*国道219号広瀬バイパス

 広瀬バイパスは、宮崎ICから西都ICに至る宮崎東環状道路(総延長30㎞)の一部を形成するもの。計画延長は3.2㎞(全幅8.5m)で、主要構造物として橋梁4箇所とボックスカルバート24基を計画する。近接する一ツ葉有料道路の無料化に合わせて、平成31年度末の事業完了を目指す。

 当初計画の全体事業費は61億円だったが、軟弱地盤対策や切土法面対策、労務単価上昇・消費増税対策として平成26年度の再評価で11億円を増額。今回、工区内の盛土材として利用する予定だった残土の運搬先変更(約5.2億円増)や切土法面対策の見直し(約2.5億円増、植生工→現場吹付法枠工+鉄筋挿入工)を追加し、全体事業費を79億7000万円と見積もった。

 増額した全体事業費に対する進捗率は、事業費ベースで82.8%、用地ベースで96.4%。構造物では、橋梁4箇所とボックスカルバート23基が完成している。難航していた用地取得に目途が立ったことから、今後は残るボックスカルバート1基、土工、法面工、舗装工、交通安全施設工等を順次施工する。