建設経済研究所は、建設業団体との防災協定の締結状況について、地方自治体に対するアンケート調査を行った。この中で、防災協定の業務に伴う請負契約の締結や代金支払いに関する規定がないと回答した自治体は37%と、約4割の自治体が事前に契約条件に合意していないことが分かった。災害対応業務の積算については、通常の工事単価を使用する自治体が47%と最多で、現場の危険性などが価格に反映されていない実態も明らかになった。
東日本大震災を契機とする災害対策基本法の改正で、自治体が積極的に防災協定を結ぶ相手に建設業が位置付けられており、現在は全ての都道府県が建設企業や建設業団体と協定を結ぶなど、年々その数を増やしている。
ただ、契約書を交わすまでの唯一の合意文書であるにも関わらず、協定で請負契約の締結・代金支払いを取り決めていないケースの数も多い。建設経済研究所のアンケートによると、調査対象90団体(都道府県、政令市、中核市)の37%が請負契約の締結・代金支払いの規定を定めず、災害発生後に協議していることが分かった。
一方、防災協定で無償と定めている自治体が目立つ業務は「被災情報の収集・報告」(32%)と「巡視、対象施設の点検調査・報告」(13%)。有償・無償の定めがない業務は「交通規制」(61%)、「技術者の調達・あっせん」(47%)、「巡視、対象施設の点検調査・報告」(43%)などが多い。
有償とされている業務の積算については「通常の工事単価」が47%、「都度協議の上計算する」が37%で、現場の危険性や活動時間など、非常時であることに配慮した「災害時用の単価」を使用している自治体は8%しかなかった。
建設経済研究所はこうした実態について「建設企業にとって契約締結や費用精算は根幹的事項。支援業務に対する契約・支払いについては協定に規定しておくべき」と指摘している。アンケート結果は、同研究所がまとめた『建設経済レポート』に掲載されている。