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技術力と社会への貢献アピール 長大と基礎地盤コンサル

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▲写真は発表会の模様

 長大(永冶泰司代表取締役社長)と基礎地盤コンサルタンツ(岩崎公俊代表取締役社長)は10月25日、「これからのまちづくり」をテーマにした「技術発表会2017」を東京都内で開いた。両者が協働して技術発表会を行うのは今回で5回目。カンボジアのネアックルン橋(つばさ橋)建設プロジェクトや、阿蘇大崩落斜面における地盤・地質リスク評価、迅速な復旧プロセスへの関与など、安全で快適なまちづくりを支える取り組みや基幹技術・新技術を発表し、両社の技術力とともに、社会に貢献し続ける姿勢を約200人の来場者に印象付けた。

 土木学会の田中賞やPC工学会賞など多くの権威ある賞を受けたネアックルン橋建設プロジェクトのプレゼンターは、長大海外事業本部海外構造技術部の朴亨斌氏が務めた。プロジェクトの背景や概要を説明した上で、メコン川を渡るカンボジア国内最長の橋梁(主径間長330㍍)である同橋の上部工に、桁高を低く抑えるためにエッジガーダーを採用したことや、下部工には地震の心配がほとんどない同国ならではの多柱式基礎を採用したことなどを解説。

 さらに、低水位時の杭の露出を防ぐためにスカートをはかせたり、主塔にはアンコールワットをイメージしたデザインを採用するなど、同国の歴史や文化を踏まえた景観設計を行ったことを説明。安全に、しかも無料で24時間自由に渡河できるようになったことで、住民の雇用や医療の向上にも大きく貢献できたことへの誇りと喜びも伝えた。

 阿蘇大崩落斜面に対する取り組みは、基礎地盤コンサルタンツ九州支社設計部の笠井真吾氏が報告。

 同社が社会経済的損失を最小化することを念頭に、全社を挙げた業務組織体制を構築し、地形・地質情報を3次元化するなどして「見える化」しつつ、発注者・施工者とも情報を共有。そうした同社の姿勢が復旧だけにとどまらず、恒久的な対策の検討にも大きく貢献できたという充実感と自信を示した。

 この日の特別講演には筑波大学名誉教授・特命教授の石田東生氏を招き、「自動運転と新しいモビリティを用いたまちづくり」と題した特別講演を聴講した。

 石田氏は、自動運転や新しいモビリティの利活用に向けた欧米の取り組み状況を説明するとともに、東京とパリの「道路空間」の捉え方の違いなどを指摘。イノベーションは技術革新だけをいうのではなく、「社会と経済の新しい結合」だと強調。道路や空間の概念を見直し、「道から社会を変革する」必要性を説いた。

 この他の発表テーマとプレゼンターは次のとおり(敬称略)▽大深度地下利用を前提とした道路事業の環境影響評価(長大・竹田則喜)▽進むビッグデータを活用した交通マネジメント(長大・船田尚吾)▽庁舎とホテルの合築による賑わいの創出について(長大・今井母土子)▽斜張橋ケーブル点検ロボットの開発(長大・藤木剛)▽衛星SARによる土構造物のモニタリング(基礎地盤コンサルタンツ・吉川猛)。