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インフラ点検にAI活用、人の判断を効率化 国交省

 インフラメンテナンス国民会議(事務局・国土交通省)は16日、「AI時代のインフラメンテナンスとビッグデータのあり方」と題したセミナーを東京都港区の世界貿易センタービルで開いた。セミナーでは、産学官の関係者が点検結果などのビッグデータと劣化度を判定できるAI(人口知能)を活用した維持管理の効率化をテーマに講演。登壇した国交省総合政策局公共事業企画調整課の新田恭士企画専門官は「インフラ用ロボットによる点検作業の効率化をAIによる人の判断の効率化へと発展させたい」などと訴えた。

 インフラメンテナンス国民会議は、インフラの老朽化対策への新技術活用や地方自治体支援のプラットフォームとして昨年11月に発足。今回のセミナーでは、インフラのビッグデータをAIに応用するため、ビッグデータの規格化や品質確保の在り方をテーマに産学官の関係者が講演した。

 国交省は、既に橋梁・トンネルの点検を支援する目的でインフラ用ロボットを試行導入している。当面は、人による近接目視点検の後にロボットが撮影・記録することになるが、新田企画専門官は「近い将来、ロボットがまずスクリーニングし、点検員は劣化が著しい箇所だけを点検するようになる」との展望を語った。

 さらに、ドローンなどのロボットで撮影した数万点に上る写真データをAIの支援で整理し、3次元モデルで損傷をチェックできるようになれば「革新的な点検作業・判断の効率化が実現できるはずだ」と続けた。

 一方、水管理・国土保全局河川計画課の佐藤寿延河川情報企画室長は、官民で開発中の陸上・水中レーザードローンなどについて講演。小型化した航空レーザー測量システムのドローンへの搭載は、1平方㍍当たり数百点に上る高密度測量を可能にし「堤防などの構造上の特性を踏まえて状態把握できるようになる」などと説明した。