国土交通省は、建設キャリアアップシステムに登録される技能者の就業履歴・資格情報を活用した能力評価基準を策定するため、11月にも有識者や関係団体による検討会を立ち上げる。システムに継続的に蓄積される就業履歴を使い、客観性が高く、簡易に技能者の技能と経験を評価できる仕組みを構築する。技能者の能力評価と連動した形で、技能者が所属する専門工事企業の企業評価制度構築にもつなげる。2017年度末に中間報告をまとめる見通し。
建設キャリアアップシステムには、技能者が技能と経験に応じて評価される環境を整備するため、システムに登録した技能者にICカードを配布し、現場での就業履歴、保有資格、講習受講履歴などを蓄積する。現在、システムの運営主体である建設業振興基金が18年秋の先行運用、19年春の本格運用に向け、システムの開発作業や登録・利用料金などを検討している。
システム開発に合わせ、国交省はシステムを活用した技能者の能力評価基準の策定にも着手する。11月に発足する検討会には、学識者、元請け・専門工事業団体、建設業振興基金の他、オブザーバーとして厚生労働省も参加する見込み。
検討会では、米国・英国など海外における技能者の能力評価、技能検定や登録基幹技能者などの資格制度を踏まえ、技能者の能力評価基準を策定する。システムに蓄積される就業履歴や資格情報は、本人確認などで真正性が確保される見込みで、検討会で客観性が高く、低コストで技能者を評価できる基準を検討する。能力評価に応じ、システム登録後に配布するICカードを色分けすることも検討する。
同省では、この能力評価基準と連動した専門工事業の企業評価制度も構築する。雇用する技能者の人数・評価を軸に、各企業の▽施工実績▽建機保有▽社会保険加入状況▽地域貢献―などの評価項目を設け、優れた技能者を抱え、施工能力のある企業が市場で選択される環境を整備する。
同省では、建設キャリアアップシステムの運用までに能力評価基準や専門工事企業の評価制度の大枠を示すことで、技能者・企業にシステムで得られるメリットを感じてもらい、システム登録を後押ししたい考えだ。