高千穂町は、一昨年に閉校した岩戸中学校跡地に天岩戸保育園を建て替えると共に、福祉施設の併設の可能性を検討する。急傾斜地付近に位置する既設の天岩戸保育園を建て替えると同時に、福祉施設に関する意見聴取の場として昨年7月に設置した「岩戸中学校跡地活用町民検討委員会」で設置の可否や機能について意見を交わし、来年度に集約した意見を報告書として内倉信吾町長に提出する。
対象地は平成27年3月に閉校した岩戸中学校の跡地(大字岩戸4518番地2)。高千穂町が委員会に示した岩戸中学校跡地活用検討方針案によると、①岩戸中学校の既存校舎を解体し、運動場と解体後の敷地に天岩戸保育園を建設する②保育園として使用する敷地以外を活用して福祉施設の設置を検討する―こととしている。
検討に際しては、▽地域住民の意見を聴取する▽福祉施設は岩戸地区に限らず町全体をみて考える▽福祉施設の提供サービスは町内で提供されていないものとする(採算等の理由で民間サービスの提供が難しいもの)▽高齢者・障がい者等の利用者と地域住民が共有できる施設とする―を議論の視点に挙げる。
昨年7月に開いた検討委員会の初会合では、委員会の設置要綱や町が作成した施設検討方針案、検討にあたっての視点、今後の日程などを確認。同年11月には、サービス付き高齢者住宅や高齢者デイサービス、保育園、地域交流スペース、カフェなどが併設された大分市の施設を委員と町の担当者が視察した。
一方で、地域住民を対象に行ったアンケート調査では、保育園との併設または複合施設として望む福祉サービスに関して、高齢者福祉施設や老人ホーム、地域・園児との交流憩いの場を望む意見が多数あったほか、跡地活用に関して思うこととして、多目的グラウンドや公園を希望する声が寄せられている。
町は13日に開催する検討委員会で、前述の視察や先進地事例、行政からの提案、アンケート結果等を踏まえた福祉施設に関する議論を深める方針。地元説明会等を経て、来年度早期に発注を予定する天岩戸保育園の設計業務委託業者の意見も参考に、意見書要望案をとりまとめ、作成した意見要望書を町長に提出する。
なお、岩戸中学校跡地の既存校舎に関しては、来年度早期に解体工事等に係る入札を執行し、平成29年度内に工事を完了させる見通しでいる。