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斜張橋ケーブル点検ロボット 長大が長崎大らと共同開発

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▲ケーブル点検ロボ                   ▲ケーブル点検ロボ

 長大(永冶泰司代表取締役社長)は、長崎大学と共同で研究し、協和機電工業(長崎市)の協力を得て開発した斜張橋ケーブル点検ロボット「VESPINAE」を、初めて女神大橋(長崎市)での点検業務に導入した。このほど点検作業を報道機関に公開した。

 「VESPINAE」は、ガイドローラー付きのアルミ製フレームでケーブルを取り囲み、四つのプロペラと電動モーターの推力でケーブルを走行。四つのビデオカメラでケーブル表面の近接映像を360度撮影する。撮影した動画を基にケーブル損傷の一般図や展開図、写真帳を作成する。

 近接目視による5年に1度の橋梁の定期点検が義務化されたが、斜張橋のケーブルはこれまで、主塔からロープで作業員が降下して目視するしかなかった。しかもこの方法だと時間と費用が掛かるため、高所作業車で高さ30㍍程度まで点検し、それ以上は遠望目視で代用せざるを得えない状況だった。

 斜張橋としては国内で6番目に長い女神大橋(延長1289㍍、2005年開通)を管理する長崎県道路公社は、近接目視が可能な点検用ロボットが複数あることを知り、ケーブル点検業務への採用を決断。ロボットによる点検が可能な建設コンサルタント10社による指名競争入札を9月16日に実施し、長大(長崎事務所)が落札していた(履行期間は17年3月24日まで)。

 長大福岡支社構造技術2部の藤木剛部長は、「他のケーブル点検ロボットは、タイヤでケーブルを挟んでモーターで移動ものが多く、ケーブルの状態や角度によっては動かない場合がある」と説明。「『VESPINAE』はプロペラの推力で移動するためケーブルの角度に関係なく移動でき、点検速度も従来のロボットの10倍以上になる」と話していた。

 長大は、長崎大学工学部・山本郁夫研究室との共同研究に15年5月から着手。協和機電工業が設計・製作を担当した。いまは無線操縦だが、最終的には自動で点検できる完全ロボット化を目指している。