地震発生時に於ける初動・津波対応等を確認する宮崎市総合防災訓練が、12月18日に宮崎市内で行われた。南海トラフ巨大地震と大津波の発生を想定した訓練には、宮崎市や九州地方整備局、自衛隊、警察、関連団体など48機関から約2千人が参加。災害発生時に於ける各機関の役割や連携体制などを細かく確認した。
市民の防災意識の向上や防災関係機関の連携向上を目的として3年に1度実施している大規模訓練。宮崎市の大淀川河川敷イベント広場を主会場に、初動対応訓練やライフライン復旧訓練を行ったほか、副会場である市内小中学校や津波避難タワーでは、避難所運営訓練やヘリによる吊り上げ救助訓練が行われた。
主会場で行われた初動対応訓練では、警察や防災士等による避難広報・誘導・支援訓練と合わせて、戸敷正宮崎市長が九州地方整備局にTEC-FORCEの派遣とヘリコプターによる被災地域の調査を要請。警察等による先行情報収集訓練や消防等による救助訓練、医師会等による応急救護所設置・運営訓練が行われた。
このほか、宮崎市土木課及び道路維持課による道路調査訓練や宮崎河川国道事務所による照明車設置訓練を実施。高速道路上で多重衝突事故による車両火災が発生した事態を想定し、宮崎地区生コンクリート事業協同組合は組合員が所有するコンクリートミキサー車を使用して、消火活動に必要となる消火用水を供給する訓練に臨んだ。
同時進行で行われたライフライン復旧訓練では、宮崎地区建設業協会が道路啓開訓練として倒木の除去作業を実施。宮崎管工事協同組合と宮崎市上下水道局は連携して給水車と簡易水道による応急給水訓練を行った。宮崎県電業協会は、災害ボランティアセンターと炊き出し所に非常用発電機を設置し、必要となる電源を供給した。
主会場隣接地に設置された防災展示コーナーでは、宮崎県建築協会や宮崎県建築士会らがブースを設置。建築協会は地震に強い住宅の建て方に関するパネルや耐震補強の重要性が分かる木造模型、建築士会は熊本地震に於ける家屋の被災状況や応急危険度判定士の活動状況を紹介し、見学に訪れた市民に建築物耐震化の重要性を訴えた。
訓練に参加した宮崎地区建設業協会の後藤啓嗣会長は、初動対応やライフライン復旧などの面で災害時に建設業界が果たす役割の重要性を強調し、「常に緊張感を持って災害に備え、定期的な訓練を通じて手順や役割、関係機関との連携を確認し、有事の際に迅速かつ適確に行動できるようにしたい」と話す。